高層ビルが消えていく
交差点は人の少ない
空が広くなったな、などと
瓦礫に座って仰ぐ昼下がり
「ざまあみろ」缶を蹴った君が
端っこで誰より泣いていたこと
僕は知らないふりをする
さようならを言うひまもない、
空はどんどん広くなる
ヒーローなどになれはしないよ
いつまでも夢を見ていられるほど
僕は子供でも大人でもない
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* 121012