満月の夜になると
涙に濡れた灯台に
首輪のないねこが集まってくる

にんげん!
ねこは口々に叫びだす
にんげん! にんげん!
愛憎の讃歌をねこはうたう

のわああ のわああ
どうしてそんなに悲しそうなの?
答えるものはだれもいない

にんげん! にんげん!
にんげん! にんげん!

のわああ のわああ
のわああああ…

ねこは口を紡ぎだす
いっぴき またいっぴき
俯いて涙をながしだす

愛憎に塗れた灯台を
いっぴき またいっぴき
ねこが去っていく

最後に残ったねこは
のわあああ
ひとつだけ泣いて
ゆっくりと歩き去っていった

朝が来るにはまだはやい

月にひとり照らされながら
灯台は次の満月を待つ




* 121012